早慶大、法政大などが属する東京六大学野球連盟が「人気の六大学」と呼ばれるのに対して、
東都大学野球連盟は「実力の東都」と呼ばれ、これまでに数多くのプロ野球選手を輩出している。
東都リーグは1部から4部の4つのリーグで構成されており、春季と秋季に入れ替え戦が行われ、
競争が激しいことから「戦国東都」とも呼ばれている。
これらの写真は、野球を愛してやまない私が、大舞台に羽ばたいてゆく彼らの大学時代の勇姿を残すために、
何万枚と撮り溜めた写真のほんの一部である。
2020年は、世界中で新型コロナウイルスが流行し、
東京オリンピックは延期となった。
大学野球も例外ではなく、春季リーグは中止を余儀なくされた。
集団生活を避ける為、選手たちは
住み慣れた寮での生活もできなくなり、
それぞれが自主トレに励み、次のリーグ戦に備えて
鍛錬の日々を送っていたと言う。
全てが変わってしまったシーズン、
選手たちが抱えている不安は計り知れない。
やがてプロ野球も観客数を制限されての観戦ができるようになり、
東都リーグも秋季リーグ戦が無事に開催された。
一年ぶりに見た彼らは、更にたくましくなっていた。
応援の規模も小さくなり、観客のヤジもない。
ウグイス嬢の声と、思い切り球を投げたピッチャーから漏れ出る声、
キャッチャーミットのパンッと鳴る音、打球音、ベンチの声出し。
秋の日差しが暖かい神宮球場には、色々な音が鮮明に響き渡っていた。
その中で私は、また彼らの野球を観られた喜びを噛み締めていた。