「Plant invasion of the city」

                                                                                                                           71A004-2 佐々木 大輔

                        

 一説によると、人類が地球から消えて25年経つと地球は、植物に覆われ、再び動物の支配する星となり、5000万年後には、地球の姿がリセットされるらしい。人類と自然の力関係なんて、簡単にひっくり返るということだ。

「Plant invasion of the city」では、都心で生きる植物をテーマに制作した。都市の風景に溶け込み、生息する植物が自らの生息範囲を拡大していく様や自然が人工物を凌駕する植物の姿を、都市を侵略する脅威の存在として表現した。

 撮影場所には主に、そびえ建つビルオフィスと緑の共存が印象的な赤坂と新宿を選んだ。

撮影を経て、人々の都市での生活に対し、植物がどれほど当たり前な存在であるか改めて気付かされた。カメラを構えて意識的に身の回りの自然を見ようとした結果、普段は気づくことのできなかった植物たちの個性的な形や意外な場所での生息に気づく。

私たちは、建物が増えたことや都市が開発されていくことに対してはとても敏感なのに、静かな緑の変化や成長には鈍感なのかもしれない。

私は、今まで気にも止めなかった植物の存在に気づいたことで一種の恐怖感を感じた。街や人々が作り上げたものは、いつかは廃れていき、人も死んでいくが、植物は私たちの足元から見えない都市の地下深くにも生命の根を張り巡らせている。植物と都市は、時が進むとともに共存から侵略へと変化していく関係性にもなり得るのではないかと感じた。

 

 感染症で怯える人類が、数十年後、数百年後大幅に減るようなことがあったならば、今まで見えないところで静かに忍び寄っていた植物の脅威や侵略は、露呈されていくだろう。