この作品は、目に見える世界を切り取ったイメージと潜在意識から浮かびあがったイメージが混在している。
そして、相反する二つのイメージが合わせ鏡のように存在してリアリティを形成している。

誰もが逃れられない現実と対峙した時、写真イメージから何が立ち現れるのだろうか

2020年、世界において未曾有な新型コロナウィルスの感染拡大による影響で、私は制作当初予定していた撮影地に通うことが出来なくなってしまった。

そうした中、過去に行く先々で撮影していた写真を見返していると、街中で見て見ぬ振りをされている現実や近代化と共に失われていく存在、退廃的な風景などから様々な声が聞こえてきた。

その声に耳を傾けることで、私は改めて自分自身の内面そして世界と向き合う機会を得た。

同時に、そこから新しいものをイメージとして生み出したいという欲求が生まれた…

 

得体の知れない閉塞感の中で、自由を求める叫びと祈りを込めて。