街中でふと目にした廃墟に、どこか懐かしさを感じた。
その感情の源を辿ると、小学生の頃の記憶に行き着く。
通学路の途中にいつも気になっていた一軒の家があった。
外見からして長い間人が住んでいないのは明らかで
壁に纏わった植物、割れた窓ガラスの向こうに、時間の止まった空気が漂っていた。
あの頃、なぜこのような姿になってしまったのだろうと、幼いながらに不思議に思った。
そして現在、土地開発が進む一方で、人口減少が進み、静かに忘れ去られていく場所がある。
かつて人の手によって作られ、生活の息づいていた場所が、次々と自然に還っている。
人間の営みが消えた後に残る「手の届かなくなった場所」を
ただ朽ちていく風景としてではなく、記憶の断片として記録していきたい。