秋元ゼミ   加納拓実



高度化した技術社会は、人間が自然を理解し制御し得るという錯覚を肥大させた。

生活圏を人工物で満たし、予測可能性と効率を至上の価値とすることで、

自然を危険性のない“背景”へと矮小化してしまった。

しかし自然は本来、秩序と混沌、創造と破壊を併せ持つ、人智の枠組みでは捉えきれない存在である。

その内部には、理性では扱いきれない霊性や異質性が脈打ち続けており、

人間が忘れようとしても消えない深層の力が宿っている。

 

本作では、その不可視の領域を浮かび上がらせるために、

あえて色彩を排し、光と影のみで構成されたモノクロームを選択した。

色の情報がもたらす装飾性を排除することで、自然が持つ存在感をより直接的に示し、

観者が自然の奥に潜む気配へと向き合わざるをえない状況をつくり出すことを意図している。

自然を対象化し優位に立とうとする視線から距離を置き、

 自然と人間の関係性そのものをあらためて問い直す契機となることを願っている。