素波銀濤に活きる

3年前、物心がついてから初めて訪れた祖父の田舎。

穏やかな時間が流れるその町は、まるで地方の田舎とは思わない風景だった。

 

綺麗に建て直された住宅、お店、工場、市場、港

海辺には高くそびえ立つ真白い壁

あらゆるところにある「津波到達地点」の一切汚れのない標識

 

この町は、14年前に姿を変えた。

大きな揺れののち、想像も絶する津波が襲う。

雪が降る中、気仙沼湾は火の海と化した。

 

海の優しさも厳しさも味わい、ともに生きる覚悟をした町

先が見えない中、力強く、辛抱強く生きてきた人たち

荒波どころか、文字通り濁流に揉まれながら過ごした日々

 

海に囲まれたこの国に生きているのならば、できる限り“あの時”を近くで感じてほしく思う。

『素波銀濤』

白い波のこと。また雲や靄(もや)などが流れる様子。

「素波」は白い波。「銀濤」は白く激しく泡立つ大波。