一柳帆乃果
いのちの輪郭にそっと触れる。
波の音が、閉じていた記憶をひらく。
結んで、ほどいて、
そしてまた、結ばれていく。
ribbon は、「いのち」と人とのつながりについて考えながら制作した写真作品です。
私たちは生まれて、誰かと出会い、関係を結び、ときにはその結び目がほどけてしまうこともあります。
けれど、全てが消えてしまうわけではなく、記憶や想いの中で、形を変えながら続いていくものがあると感じています。
中学時代に経験した大切な人との別れをきっかけに、私は初めて、時間が止まらないことや、いのちが永遠ではないという現実と向き合いました。
その後もいくつかの別れを経験する中で、人との関係は終わるのではなく、心の中で静かに結び直されていくのだと思うようになりました。
大学では写真表現を学び、写真は目に見えるものだけでなく、その場の気配や感情、言葉にならないものまで写し取ることができる表現だと感じています。
一瞬を切り取るからこそ、そこに長い時間や失われたものの存在を、写真は伝えてくれると信じています。
「ribbon」というタイトルには、結んだり、ほどいたり、また結び直せるという意味があります。
たとえほどけたとしても、結び目は消えない。
この作品は、失われたものと、今も続いているもの、その狭間にある“いのち”を見つめるための試みです。
写真の前に立ったとき、見る人それぞれの記憶や感情が、そっと結び直されるような時間になれば嬉しいです。