身近にある 顔 を探そうと思った。
三重県の四日市市で生まれて、常にコンビナートの煙突が見えていた。煙突から出る煙は毎日変化した。
白い煙はよく雲に合流した。だから小さい頃、私は雲を工場の煙からできているものと思っていた。灰色の煙が街まで来ると視界が悪くなった。ライトに照らされ赤く見えた大きな煙を火事だと思い、消防に通報しようとした。夜、国道沿いを車で通るとき、コンビナートの光がたくさんの目のように見え、じっと見られているようで怖くて目を瞑っていた。
地元の代表であるコンビナートと、日々変わる煙。
今回、私はこれらの写真を 顔 に選んだ。
小澤 麻衣子