生きる

 

 

 

 

日々とは、静かに続いていくものだと思います。

しばらく前に、北海道に住んでいる知人が亡くなりました。闘病していたその人の 訃報を親から聞いたとき、私は人の死んでいく事とは何をしても止められない事 なのだ、とショックを受けました。

それでも日々はあまり変わらずに、静かなまま、続いています。

 

この組写真は、この四年間で私が撮りためたものから選んだものです。日々カメラを持ち歩き、写した写真は、私の生きている時間をうつしとったものと言えます。

私たちはみな生きて、そして死んでいくという点で共通しています。

この写真を見た人の日々にも、私の写した日々と共通する瞬間があるのではないでしょうか。

 

所々で挟まれる赤色が入った写真があります。この写真の赤は、血の色を 示しています。

昔、料理中に指を切ってしまったことがあります。そのときに吹き零れる血の 温かさに、ああ自分は生きているのだ、とはっとしました。

血というものは、ふとした拍子に表出して、私たちに己の生を突きつけます。

そのような役割を持たせるため、こうした写真を配置しました。

 

また、水がないと私たちは生きていくことができません。絶えず私たちの周りを 巡る水の象徴として、雲や水のイメージを含ませています。

 

体の外では水が、内側では血が巡る世界で、私はこれからも、いつかおとずれる 自分が終わるときまで、生きて行くのだと思います。