1945年8月9日、長崎に投下された原子爆弾はもともと小倉に投下される予定だった。
難を逃れた小倉と、甚大な被害を受けた長崎。
私は二つの歴史を巡り、最後は北九州のカルスト台地にたどり着く。
そこでは、見渡す限り石灰岩の尖峰が散らばっていた。
私は目を瞑り、“ ifのあの日”を想像する。
光や轟音、熱を浴びた人々が、溶けて、焼けていく。
誰も動かない死の世界。
もしもこの場所で、私だけが生き残ってしまったら。