くさり





背伸びしても届かない父と母の顔と、

頭を撫でる柔らかくも強い母の手、

私の手を包み込む大きく硬い父の手。

 

あの時に触れた感触は私の中に存在していたはずだが、

今では誰かの記憶のようだ。

 

奥底に沈めた誰かの記憶は、鎖のように私を縛りつける。

逃げるように離れても、錆び付いた鎖は私を離さない。

振り解こうと力を込めると内側から外側へ、

痛みが滲み出る。

 

誰かの記憶は少しずつ私を蝕み、

腐らせる。