山にかえる
この作品は自己を社会から切り離すことに用いられる自殺についてヴィジュアル化した作品です。
私は高校生の時に自殺したいと思うことが多く、それはその時々の悩みが原因で苦しくなり、一気に引き込まれました。死にたいというスタート、そして死ぬか死なないかのゴールは点と点のように明確です。しかし「なぜ死にたいと思ったのか」という過程については曖昧です。写真で例えるなら白黒写真は白と黒とではっきり分かれていますが、実際には白から黒に対してグラデーションがあり、死ぬまでのプロセス(または死なないまでのプロセス)が曖昧であることと近いと考えました。
社会心理学者のロイ・バウマイスターが提唱する「自己逃避としての自殺」をヒントに、私は自殺をヴィジュアル化しようとすることでなぜ自殺をしようと思うのか、その過程ついて理解しようとしています。
齋藤響 Hibiki Saito