Awakening

 

 

 

九月、台風が過ぎ去ってすぐに近くの河口付近の浜へ行くといつもとは様子が変わっていた。それまで砂地だったところには大量の木々と街から流れ出たゴミで溢れていた。その上を歩くと日の光で乾いた木々とゴミはパキパキと優しく割れた。ゴミはペットボトルや缶、ガラス、発泡スチロール、元の物体の形がわかるものもあれば原型を留めていない破片のゴミまで多種多様だった。中には子供が遊んでいたであろうおもちゃの人形やミニカー、誰かのサンダルや上着などの所有者が必ずいた物もあった。

私は浜を歩きながら、このゴミが何処からやって来たのかばかり考えていた。ここに来る前はどこでどんな役目をこなしていたのだろうか、それとも誰かのものだったのだろうか。

 

私は河を遡ることにした。

  

 

 

 

 

 

 

 




河を遡りながら私は人々の生活を見掛けた。河を少し外れると道路が走っていて車がそこを駆け抜けていく。災害にならないように作られた堤防からは独特のアングルで近くの家を少しだけ見下ろすことができた。川面に群がる魚たちにもきっと家族がいて、川沿いに広がる木々の影にも眼では追えないほど多くの生き物が生きている。遠い場所から私を見たら、きっとたくさんの生き物と私も同じ場所で生きているように見えると思う。私はそれがずっと続いてほしい。