暮らしの側にある水

SDGs 目標6 安全な水とトイレを世界中に

 

 現代日本は、17個あるSDGs目標のうち「6番 安全な水とトイレを世界中に」の問題に関して、世界各国の中で問題が比較的に少ない方であると言える。日本の各家庭の水道からはそのままでも飲める安全な水が流れてくるし、近くにある川は魚が泳げるほど綺麗だし、街中にあるトイレの多くは綺麗で衛生的である。”衛生”と言う観点から見ると日本は世界の中でも有数の”きれいな国”であると言える。それ故に、安全な水やトイレが当たり前のようにある環境で育ってきた私たちは、このことを疑うことなく当たり前のことであると感じている人が多く、他のSDGs課題と比べても、普通に生活している中で6番の課題を意識する機会はほとんどないのではないかと思う。しかし、日本とて何もせずとも安全な水が手に入るというわけではなく、日本で安全な水が供給され、また安全な水が川を流れ海へ還り循環していく、その背景には日本各地の浄水場、下水処理場(水再生センター)などの様々な組織が深く関わっている。

 今回は6番の課題の根幹である”水”に着目し、私たちが使用した水がどういう過程を経て海へと流れていくのか、安全な水として生まれ変わっていく背景にはどのようなものが存在しているのか。水と川の流れを追う中で、普段意識しづらい6番の課題を再認識するきっかけになればいいなと思う。

 

 

*マンホール(合流)

合流マンホールの下では私たちが使用した水(汚水)と雨水が同じ管の中で流れており、水再生センターへと向かっている。

 

*第二沈殿池(多摩川上流水再生センター)

水再生センターで水を綺麗にしていく過程の一部分。前段階である反応層(微生物の入った活性汚泥と呼ばれるものを使用し、時間をかけて下水の汚れを分解する過程)を経た水を第二沈殿池で数時間放置すると、活性汚泥が下へと沈んでいき、上澄(処理水)と活性汚泥に分離する。その上澄部分を回収し、塩素消毒を施すことでかつて汚水だったものが再生水へと生まれ変わり、川へ放流しても問題のない水になる。

 

*再生水放流口(北多摩一号水再生センター)

水再生センターで処理された水は最終的に川へと放流され海へと流れていく。時には再生水として様々な場所で利用される。