青木 惇
「SDGs」近年新たに叫ばれるようになったスローガンですね。
持続可能な社会、誰一人取り残さない、未来のために達成すべき17の目標など、なんだか心地の良いフレーズばかりで、素晴らしい理念のように思えます。
しかし、本当に助けを必要とする立場の人々が、SDGsの取り組みに賛同出来るのでしょうか?SDGsを実現する過程で皺寄せを受けるのは生活困窮者です。生活豊かな人が、権力者の立場でみなさん、SDGsですよ、と投げかけているように思えてなりません。SDGsという概念は曖昧で抽象的ゆえに目標の到達点が権力者の創造する恣意的な方向に流れて生きやすく、権力のあるものが権力のないものに対して制約しようとする構造は賛同しがたいのです。
「何故あなたはSDGsを推進するのに、7番12番の目標に抵触する芸術活動をするのですか」と問われたとき、果たして「芸術は例外だからです」と言えるものなのか、矛盾を抱き、このテーマをどのように作品に落とし込むか、結構迷いました。
SDGsの考え方は素晴らしいのです。重要なことは、多様化社会に生きる者同士、それぞれが補い合って暮らしていくことであり、誰かが決めた目標が正しいからこれに従うべきだということではないのだと感じます。
そこで、今回はSDGsの根本理念でもある「皆がこの世界を大切にしようと、そう思える社会の実現」を表現する写真が相応しいのではないかと考えました。「作る」という行為は「新たに生み出すもの」であり、創造性はより良い社会の発展に必要な要素です。きっとこれこそが、極端な話 17つの目標に近づく一番の近道なのではないかと思います。