海に育まれて

泉水大輝

 

 「生命はどこから誕生したのか」、この問いにたいして人はその長い歴史の中で様々な説を唱えてきた。神が創造しただとか、地球外の惑星からやってきただとか。そしてその説のひとつに「海から誕生した」というのがある。

深い深い海の底で地球のマグマによって温められた熱水が噴き出し、そこに生命が生まれたというものだ。

 

 海は最初の生命が誕生するよりも遥か昔から地球を青く染めている。海と地球という惑星の歩みは、生命ましてや人の歴史とは比べ物にならないほど壮大なのだ。

 

 私は生命の源は海だという説はなんだか納得がいくように感じる。科学的に正しそうだからとかそういうことではなくて、ひとつの生命である私が海に惹かれている、そんな気がするからだ。それは遥か昔の生まれ故郷に懐かしさを感じているからかもしれない。

 

 そんな海と人の歩みも、私の人生に比べればとても壮大なものだ。海は当たり前にそこにあって、人々は海から様々な恵みを受けて生きている。しかし最近の人は自分たちの成長と共に海に寄り添わなくなっているように感じる。それで良いのだろうか。

 

 よく地球にとって人という存在は招かれざるものという人がいるが、はたしてそうだろうか。地球と海の長い歩みによって生命が誕生したのならば、言ってみれば人にとって地球と海は父と母のようなものだろう。今の人はまるで反抗期とでも言えるような態度を地球や海にとってしまってる。しかしもう少し人が成長して、その態度を改めることができれば、成長するなかで仕方のないこと。と父と母は笑って許してはくれないだろうか。