霧というものは、数えきれない⽔滴が常時形を変えながら、私たちの⽬の前に現れる。
それらはただ曖昧なものではなく、異なる形をした⼀粒⼀粒が混ざり合ってできている確かな存在だ。
そして、私たち⼈間も宇宙から⾒ると⼀粒の粒⼦である。
宇宙のなかで、私たちは、他の⽣きもの、様々なものとひとつづきの粒⼦で、常に動き回って形を変えている。
パンデミック以降、⼈々の周りには混沌とした不安が霧のように纏わりついている。
その纏わりの全ては他者が掴みきれるものではない。
しかし、私たちは同じ共同体で、ともに⽣きていかなくてはならない。
どのようにして異なる粒をつなぎ、構成していくのかということを考えなければならない。
宇宙は常に関わり合い、変化している。⼀つ⼀つの粒⼦は取るに⾜りないように⾒えるが、
同じ粒は⼀つしてなく、全ての粒⼦が関わり合っているから、この宇宙は動いている。
そして、かつて古来⼈は⾳楽で⾝体を揺らすことから、⾃然や宇宙の繋がりを表してきた。
それぞれの粒が、思いも未知なる存在と繋がり合う⼀瞬、そこには「⽣」がある。