まだ、いたかった

 

 

 

 

夜は嫌いだ。ひとりぼっちな気がするから。

朝はもっと嫌いだ。今日を生きなきゃいけない気がするから。

 

雨も嫌いだ。悲しくなるから。

晴れはもっと嫌いだ。日差しが正しい在り方を押し付けてくるから。

 

 

 

 

P.M. 8:00

 

けたたましく鳴るアラーム。

 

私を呼んでいる。

 

天気予報は晴れだった。

 

また億劫な一日が始まる。

 

悲しい気持ちにたくさんなって

 

嬉しいことは少しだけ。

 

そんなバランスの悪い日常の繰り返し。

 

言う事を聞かない体を持ち上げて

 

何にもなれない私は

 

今日も絶望に飛び込んでいく。

 

 

 

 

 

P.M. 17:00

 

日が暮れるのが早くなった。

 

気付けば季節が巡って、置き去りにされたような感覚にもなる。

 

今日も必死に生きて

 

人の求める私になろうとして

 

それでも自分の理想には程遠くて

 

明日も、また当たり前に朝が来て

 

いつまでこの苦しみを抱えなければいけないのか

 

終わりが見えなかった。

 

逃げたかった。

 

怖かった。

 

 

 

 

 

A.M. 3:00

 

まだ眠れなかった。医者の話では不眠症らしい。

 

明日が来ることが怖くて

 

やらなくてはいけないこと、やるべきことが頭の中を埋め尽くして

 

叶わないこと、叶えられないことが掻き乱していく。

 

何もかもボロボロだった。

 

どんなに限界でも

 

外では取り繕って

 

立ち向かわないと

 

私の存在自体が認められない。

 

これからも生きていくために

 

今の自分を追い詰めるなんて

 

なんて矛盾を抱えているのだ、と

 

ぼんやり思考を巡らせつつ

 

ゆっくり目を閉じ、薬が効くのを待っていた。

 

 

 

 

生きる事が辛かった。普通になれない自分が嫌だった。

 

よく考えてみれば良い所なんてほとんど無かった。

 

それでも自分を好きになりたかった。

 

理解したかった。

 

形のないものに輪郭をつけると、そこには今までの弱い私がいた。

 

傷や後悔がたくさんあった。

 

 

 

終わりのない苦しみなんてない、人は言う。私は自分の手で終わらせたい。

 

今望んでいるのはそういう明日だ。

 

 

 

「それでも、まだ」

  

 

 

 

 

 

 

 

「だから今日も私は生きていく。」