y o h a k u

 

「言えなかったことって残るんだよ。服のシミみたいに。」

あるドラマの登場人物が言っていた。

上手に言葉にして伝えられないことが私の悪いくせだった。

腹の底に溜めた言葉は、もう喉元までいっぱいだ。

 

たくさんのシミに覆い隠されて見えなくなった私だけれど、

まだ心の奥底で「腐ってたまるか」と燃えている。

 

 

すごく巨大で暗い夜があ

暗さに飲み込まれて、潰されてしまうような

深い夜がある。

 

小さな針穴が、少しずつ 広がってゆく

あの日、針を飲み込んだわたしと

今、黒に飲み込まれるわたしが

向かい合って、泣いている。

 

わたし  という  人間  は

海の奥深くにしずんでいる  鉛  のかたまり

の ようなもので

辺りを  酸素  が渦巻いて

すべて  を  溶かしてしまうのだろう

この  身  ごと  すべて

 

わたし  が  息をする度

針穴  が  ひろがってゆく

小さな しこりが わたし を殺し

恥ずべき  癖  が わたし を 蝕む

 

わたし という 人間 が

どこにも  いない 、