此処に、霊魂は宿る
この作品は、ある山と岩にまつわる信仰の証である。
古来より日本に存在する、精霊崇拝。
現代においても日本独自のその信仰の形は、我々の精神に根付いている。
この山は、江戸時代まで巨石信仰の場として栄えた山であるが、現在ではその名残さえあまり感じることができない。
それでも山中に点在する巨石と対峙すると、今でも確かに此処に霊魂は宿っていると感じるのだ。
信仰とはすなわち、心の拠り所を見つける事である。
その行為はこの時代、そして今の私にとって無視することの出来ないテーマであった。
そこで私は、目に見えない信仰の対象を写し出すことを試みた。
夜の山に入り、岩に光を当てて炙り出すという行為はまさに写真そのものであり、私の信仰の形そのものであった。
過去の人々にとって、そして私にとってこの山や岩はどのような存在であるのか。
これらの写真は過去の信仰の証であると同時に、私の信仰の証でもある。