私は雨が好きだ。
雨が降るとさまざまなものが濡れ、普段とは違う顔を見せる。
夜の街灯やビルの光に照らされてキラキラと輝き、その瞬間だけに現れる小さな宝石のように変化する。
そして雨は必ずどこかに欠片を残し、去っていく。
雨が残していった欠片によって変化したものは全てその瞬間でしか見れない景色だ。
何度雨が降ろうとも完全に同じ景色を見せることはなくその希少性がまた私の心をくすぐりより一層、雨を好きにさせる。
小学4年生頃から毎日同じ道をただひたすら同じように通る日々が嫌いだった。
だが雨が降った日は必然的に持ち物や空気感が変わり、日常が少し変わったように感じ嬉しくなった。
加えて陽が暮れて家に帰るころ、普段ならキラキラしない場所も輝きだし日常からファンタジーの世界に自分で何もすることなく
迷いこんだような気持ちになれる雨が好きになった。
水滴が落ちた瞬間は目で捉えることができずいつも見るのは落ちる前と後の波紋と、水たまり。
雫の中はどんな世界が広がっているのだろうと撮影した。
いつも通る田んぼ道や森に囲まれた家の周りよりとても人が多い駅でも、こんなに小さな世界に収まってしまうほど小さな世界だったのかと感じた。
そして常に真正面から世界に向き合わなくても何か越しにでも世界を見て感じても新たな視点を感じられることができるのだとわかり
たまには自分が見たいように自分勝手に変えて見ても良いだろうと感じた。
その世界は小さいものから少し大きいもの、丸いものや線状のもの、それらの形から外れた形のもの。
長い時間残り続ける外枠と変わり続ける外枠。見る角度や位置、光の当たり具合によっても万華鏡かのように変化し続ける。
それらを見たいがためにまた雨が待ち遠しくなる。