幼い頃から人形が好きだった。
人形たちに衣装を着せて、子供部屋で小さな世界をつくりあげていた。
はじめて自分で人形を買ったのは中学生の頃だった。
かわいいから、という単純な理由でブライス人形に手を出した。
でも、昔のままとっておいたあの衣装を着せた時、人形の表情が変わった気がした。
それからいままで、その魅力に取り憑かれたままだ。
そうして今、手元には5体の人形たちがいる。
新しい服に着せ替えるとき。
部屋の外の景色を見せたとき。
淡々と過ぎる日常の中で、ちょっとした変化が起きるとき。
そんな時、彼女たちはどんな気分でいるのだろう。