幼少期に両親とよく美術館に通った。
ある日訪れて鑑賞した作品は、
モネが描いた「睡蓮」だった。
当時、その植物を知らなかった私は
淡い緑や青といった色彩の流れに心惹かれ、
絵画の世界へと引き込まれるのを自覚した。
この経験における、
視覚情報から感情認識への変化が
現在に至るまでの記憶として残っている。
2020年以降、パンデミックにより、
度重なる自粛を余儀なくされ、
孤独感を感じる瞬間が増えた。
さらに、その生活に慣れると、
世界への現実感が失われ、
私という主体に対しても懐疑的になった。
否、感情を感じている私は存在する。
それは自分自身なのではないだろうか。
抽象画家カンディンスキーの色彩と造形、
ダリの心理的なアプローチを参考に、
撮影後の画像合成で感情を認識した。
さらに感情を表出させようと、
編集を繰り返して立ち上がってきた作品には
夢に誘われる感覚を得た。
幸せな夢であれ、
恐ろしい悪夢であれ、
私を形作る断片であることに気づき、
自分らしさを肯定できる。
私にとって、
これらの過程で生まれた作品は
未来への原動力であり希望である。