祖父は写真を生業とし、海を愛して仕事に生きる人だった。
娘である私の母もまた音楽と海を愛しておおらかに、明るく生きる人だった。
写真を学びたいと思ったきっかけのフィルムカメラで母を撮った。祖父が残したカメラで母を残すように。
私の話し方や表情、行動に母の面影を感じる人がいる。私の中には生きた証がある。
これは、今の私に出来る最大の証明。
母の友人からの手紙1 2022.6.6
私は覚えてる。ずっと。千夏のこと。
学生時代も、それからも会って話したこと、くりかえしみた映画のよーに思い出せるんよ。
さっきの出来事か!!くらいに。
(中略)
やから私、本当の意味で人が死ぬときって勝手に思うだけやけど
その人の記憶がある人が皆おらんくなったときやないかなと思ってて。
千夏のひとつひとつが、まわりの皆の人生になっとる。生き方が。
ひとつひとつをていねいに生きてるやん?千夏。
姿勢正されるよ。
母の友人からの手紙2 2022.6.19
うららの中に、千夏が本当いるんやなと思う。めちゃ似てるやん。
ひとつひとつ、大切に大事に育てたね。頑張ったねー千夏!
楽しくて嬉しかったね、うららうまれて。
5年前位に会った時、本当、千夏って「お母さん」なんや!って。
当たり前やけど。自分もか。
千夏が息すって、はいて、たとえ体もし動かんとしても、
この世に千夏がいるというのはうららのささえにもなるから、
千夏に生きていてほしい。
穏やかな海を漂っているような苦しみのないところにいるのかな。
私は、同じ時間を生きていた時よりも
ずっとお母さんのことを思いながら生きているよ。
でも、それは悲しい気持ちではなくて
あ、これ好きそうとか、ちょっとしたことを話したい時。きっとこの先も。
祈りをこめて。
2022.12.2